隊員コラム / 現場レポート
「もう一歩、後ろへ」――現場で大切にしている、小さな声かけ
いちばん怖いのは、慣れてしまうことです。栃木出身のベテラン隊員・横山が綴る、安全への姿勢。
隊員プロフィール
- 氏名:横山
- 年齢:54歳
- 出身:栃木県
- 担当:交通誘導警備
- 家族構成:妻、独立した娘ひとり
大きな声よりも、届く声を
こんにちは、交通誘導警備員の横山と申します。この仕事に就いてから、ずいぶんと長い時間が経ちました。最初の頃は、とにかく大きな声を出すのが正解だと思い込んでおりました。ですが、年を重ねるうちに、声というのは大きさよりも「相手にきちんと届くかどうか」が大切なのだと気づかされました。
たとえば、現場の前を歩く小さなお子さん連れの方や、ご年配の方。同じトーンで「ストップ!」と叫んでも、驚かせてしまうばかりで、安全には繋がりません。少し腰を落として、目線を合わせて、「すみません、もう一歩だけ後ろへお願いいたします」と申し上げる。それだけで現場の空気はずいぶんと変わるものです。
「慣れ」は、いちばん怖い相手
長く現場に立っていますと、「いつもと同じ」という日が増えてまいります。ですが、本当に怖いのはそこなのだと、若い頃に先輩から教わりました。同じ交差点でも、季節が変われば日差しの角度が変わり、ドライバーの視界も変わります。雨の日と晴れの日では路面の状態もまったく違います。
ですから私は、現場に着いたら必ず、まず一周ゆっくり歩いて確認するようにしております。小さな段差、見通しの悪い角、後ろから何が来るか分からない出入口。そういった「いつもと違う何か」に、自分のほうから先に気づいておく。それが私のささやかなルーティンでございます。
後輩には、技術より先に「姿勢」を
最近は、若い方々に現場でお声がけする機会も増えました。私が伝えるようにしているのは、誘導の技術よりもまず、相手を尊重する姿勢です。ドライバーの方も、歩行者の方も、工事をしてくださる職人さんも、皆さんそれぞれの一日があってこの現場を通っていかれます。「お忙しいところ恐れ入ります」――この一言を添えられるかどうかで、警備員の仕事はずいぶん違って見えるものです。
派手な仕事ではありません。けれど、毎日毎日、誰かの「無事故の一日」を支えている。そう思える日がきっと来ると、栃木からこの街に出てきた私が保証いたします。

