打刻ステーションで作るタイムカードと承認フロー|ShiftLift 導入編 #4

ShiftLift

ShiftLift 導入編 第 4 回は、打刻ステーションを中心としたタイムカードの初期設定と承認フローを整えます。シフト表と希望申請の仕組みを整えた前回までを土台に、今回は「誰が・いつ・どこで働いたか」を数字として確定させ、そのまま給与計算に渡せる状態を作るのがゴールです。

共用タブレット 1 台で全員の勤怠をさばく打刻ステーション、4 桁 PIN のセキュリティ設計、監査ログ、承認漏れを防ぐ運用ルールまで、実装の裏側もあわせて解説します。導入編 #3(シフト作成と希望申請)を終えた前提で読み進めてください。

この記事で分かること

  • 個人打刻と打刻ステーションの使い分けと併用時の落とし穴
  • タイムカード集計の 締め日・休憩控除・GPS 距離確認の実務的な決め方
  • 共用端末を安全に運用する PIN・セッション・監査ログの設計
  • 承認漏れを起こさない 「毎朝 5 分」の承認ルーティン

打刻方式を決める:個人打刻と打刻ステーションの使い分け

ShiftLift の打刻方式は 2 系統あります。個人打刻はスタッフのスマートフォンから GPS 付きで打刻する方式、打刻ステーションは事業所に据え置いた共用タブレットで PIN 打刻する方式です。どちらを選ぶかは、現場の分散度と、端末を誰が管理するかで決まります。

個人打刻が向いているケース

在宅勤務・直行直帰・巡回警備・営業訪問など、スタッフが日ごとに違う場所で始業終業を迎える働き方には個人打刻が最適です。GPS ログが自動で残るため、シフト設定した現場範囲との突き合わせが可能で、位置の裏取りまで一気通貫で済みます。

打刻ステーションが向いているケース

飲食・小売・工場・警備の常駐現場のように集合出勤する現場では、共用タブレットを 1 台置く方が現実的です。個人端末のバッテリー切れや通信不安定、アプリの操作差といった変動要因を、そもそも構造から排除できます。シフト表と直結しているので、勤務予定と実績の照合も自動で走ります。

併用するときの設定ポイント

両方を併用する場合、現状の ShiftLift はどちらか一方を自動で強制するモードを持たないため、現場ごとに「この店舗はステーション打刻」「この巡回シフトは個人打刻」と役割を切り分けて運用するのが基本です。同一シフトに対して両方から打刻が上がった場合は、承認画面で重複を確認し、片方を却下することで整合を取ります。直行直帰など個人打刻でしか対応できない働き方は、シフト登録時に現場側の運用ルールとしてあらかじめ周知しておくと混乱が起きません。

タイムカードの会社設定:集計ルールを固める

打刻方式が決まったら、次はタイムカードの集計ルールを決めます。ここは給与計算の前提になるため、後から変更すると過去分の再計算が必要になります。したがって初回導入時に一気に決め切るのが安全です。

  • 締め日と支給日:末締め翌月払いなど、社内規則に合わせて設定します。給与計算は締め日を基準に対象期間を切り出します。
  • 休憩自動控除:一定時間以上の勤務に対して休憩を自動で控除できます。労基法(6 時間超で 45 分、8 時間超で 60 分)と整合を取って「N 時間以上で M 分控除」を設定します。
  • 現場の位置登録:現場ごとに緯度経度を登録すると、GPS 打刻時の打刻位置と現場位置の距離が実績に自動記録されます。承認時に距離を目視して、離れすぎている打刻をコメント付きで確認できます。

※ 集計単位・週の起点・分単位の丸め処理・GPS 半径による自動フラグは現状 UI としては未実装で、承認者の目視確認で補います。

打刻ステーションの立ち上げ手順

打刻ステーションは、現場に置いた 1 台のタブレットを全員の共有タイムカードに変える機能です。管理者が朝一で「開始」を押せば、あとはスタッフが 4 桁の PIN を入れるだけで、出勤・退勤・休憩開始・休憩終了までを 1 台で完結できます。

1. ステーションの起動と現場選択

ダッシュボードから「ステーション開始」ボタンを押すと、対象現場と権限者(開始・終了の責任者)を選択するモーダルが表示されます。ここで権限者 PIN を入力すると、その現場の共用モードが立ち上がります。以降、タブレットの画面は PIN テンキー UI に固定され、他の操作はロックされます。

2. スタッフ用 PIN の発行と再設定

スタッフ用 PIN は従業員一覧 → 各従業員の編集画面にある「打刻用 PIN のリセット」から初期化します。管理者の 6 桁 PIN を入力してリセットすると、対象スタッフに再設定を促す表示が出るため、スタッフ本人がスマホの「設定 → 打刻用 PIN」タブで任意の 4 桁 PIN を登録します。PIN 忘却時も同じ流れで復旧できます。

スタッフ本人による PIN 変更は同じ「設定 → 打刻用 PIN」タブから随時可能で、初期発行後に覚えやすい 4 桁への付け替えもセルフで行えます。管理者による強制リセットは、失念や本人操作ができない場合の救済手段として位置づけると、日常運用は本人セルフで回せます。

3. 応援・代打スタッフの打刻

シフトが登録されていない従業員も、ステーション画面の「その他の従業員(応援・代打)」セクションから自分の名前を選び、4 桁 PIN で打刻できます。打刻データから当日の実績シフトが自動生成されるため、急な応援やヘルプでも管理者が事前にシフトを登録する手間がありません。承認画面には他の実績と並んで表示され、通常通り承認できます。

PIN 運用のセキュリティ設計

共用端末で最初に問題になるのが「PIN が漏れたらどうするか」です。ShiftLift の打刻ステーションは、この不安を運用ではなく実装レベルで潰しにいっています。

4 桁 / 6 桁 PIN と失敗ロック

  • 従業員 PIN は 4 桁、権限者 PIN は 6 桁。運用負荷とセキュリティのバランスを取っています。
  • 5 回連続失敗で 15 分の自動ロック。総当たり攻撃を実質的に無効化します。
  • 弱い PIN は登録時に警告。全桁同一(1111・0000)や連番(1234・4321)は登録自体は可能ですが、「推測されやすい PIN です。次回は変更をおすすめします」というメッセージが表示されます。
  • PIN は bcrypt で 1 方向ハッシュ化。DB に平文は残らず、管理者からも参照できません。
  • 忘却時は権限者 PIN でその場でリセット。現場を止めずに復帰できます。

セッション運用と監査ログ

打刻ステーションのセッションは、権限者が明示的に「終了」を押すか、起動から 12 時間で自動終了します。したがって夜間の放置で誰かが別人の PIN を試し続ける、といった状態は構造的に発生しません。

セッション開始・終了、PIN 認証成功/失敗・ロック、PIN 設定・リセット、通常打刻・緊急打刻といった打刻ステーション上の全操作は、追記専用の auditLogs コレクションに自動記録されます。労基署対応や社内トラブル、顧客への説明を求められた際、証跡が残っていることが最終的な安全網になります。なお、他社の管理者が自社の打刻セッションを終了できないマルチテナント境界も組み込まれているため、多店舗・複数会社所属の運用でも取り違えは起きません。

承認フローの運用:未承認から給与反映まで

打刻が完了すると、実績は未承認の状態でタイムカードに並びます。管理者は毎日〜週次で承認画面を開き、内容を確認して承認済に切り替えます。承認済に変わった実績だけが給与計算対象になるため、承認漏れは支給漏れに直結します。したがって「毎朝 5 分」を運用ルールに固定してしまうのが安全です。

承認画面はサイドバーの「タイムカード」から開けます。ページ上部の月セレクタで対象月を選び、「非承認以外を一括承認」ボタンで未承認分をまとめて処理できます。前日分だけを絞るプリセットフィルタはないため、毎朝の運用ルールとして「タイムカードページを開いて未承認行を消し込む」を固定するのが実務的です。

承認画面で判断するポイント

  • 通常打刻:シフトに沿った打刻はワンクリックで一括承認できます。
  • GPS 距離の確認:各打刻には現場位置からの距離が記録されます。承認画面で距離を確認し、離れすぎている場合はコメント欄に理由を残したうえで承認します。
  • 残業:所定時間を超えた分は「残業」として色分け表示されます。上長の追加承認が必要な場合はここで差し戻します。
  • 遅刻・欠勤:本人不在で打刻が上がらない場合、管理者は該当行の「打刻時間を編集」から出勤・退勤・休憩・承認残業時間を直接補正できます。変更は最終更新時刻として記録されます。

よくあるつまずきと解決策

PIN を忘れるスタッフが続出する

初期発行 PIN のまま覚えられないケースが多いので、初回打刻の前後で本人にスマホの「設定 → 打刻用 PIN」から覚えやすい 4 桁への変更を徹底します。忘却は管理者による権限者 PIN 入力で即時リセットできるため、遅刻扱いを避けられます。

月末になって打刻漏れが発覚する

締め日直前にまとめて確認すると、本人記憶が薄れて確定できなくなります。承認は毎朝 5 分ルーティンで前日分を必ず処理する運用にしておくと、月末の再確認コストが劇的に下がります。

個人打刻と併用したら二重打刻が発生した

現状は打刻方式の自動排他制御はないため、現場ごとに「ステーション打刻のみで運用する」ことを事前に周知し、朝礼などで徹底するのが最も効果的です。それでも二重打刻が発生した場合は、承認画面で重複した打刻を確認し、正しい方を承認・もう一方を却下することで実績を一本化できます。

まとめ:ここまで来れば運用は自走する

この段階まで進めば、シフト → 希望申請 → 打刻 → 承認 → 集計という一連の流れが自動で回るようになります。管理者の手作業は、ほぼ「例外対応」と「承認クリック」だけに集約されます。

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次回予告

第 5 回は「給与計算と明細発行」に進みます。承認済のタイムカードから、時給・日給・月給・各種手当がどのように積み上がるか、そして明細をスタッフに配信するまでの流れをまとめます。

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